9-2.ゼロの発見
◇ゼロの発見はインドでなされたことは広く知られた事実です。ではなぜインド(Where)でなくてはならないのでしょうか?
◇結論からいうとゼロの概念(What)のルーツは、ヒマラヤ山脈の麓に生まれた釈迦が広めた仏教の教えの中にあります。従って『マンダリックス』中のWhoに当てはまるのは釈迦です。
◇釈迦の死後約500年を経て、同じインドに龍樹(ナーガール・ジュナ)という僧侶が現れます。彼は釈迦の教えを深めて大乗仏教(Which)を唱え、旧来の小乗仏教(Whom)を批判しました。いわば釈迦の教えの虜(とりこ)となった龍樹はWhoseと位置づけることができます。
◇龍樹はそれまでの「有」か「無」かの二元論を排し、もう一つ次元の高い「空」という概念を提唱します。これが“色即是空”というキーワードとなり(How)、6世紀頃(When)数学の世界にも初めてゼロ(What)が誕生するのです。
◇それがアラビアのバクダッドに8世紀後半に伝わり、ヨーロッパで使用され出したのは12世紀以降のことです。ですから「0」を代表とするアラビア数字は、本当は「インド数字」と言うべきです。
◇大乗仏教のエッセンスを表した経文である般若心経の中に「色即是空 空即是色」というキーワードがあります。その空という概念が基礎となり、数字を表記するときに何もない位
(くらい) としての“空位=0”が生まれたのです。サンスクリット語でSunya(スニヤ=空)と言われたものが、アラビア語でSifr(シフル)、イタリア語になって初めてZero(ゼロ)と呼ばれるようになります。
◇「ゼロのついてはバビロニヤ文明やマヤ文明にも使用されていた事実はある。しかし、しるし・数字・数としての三つの役割をすべて備えたゼロを発見したのはインド人だった」…ドゥニ・ゲージ著:数の歴史より
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